美術館めぐり・2015夏
ピント美術館(Pinto Art Gallery)
マニラから見て少し東の外れのアンティポロという町にある最高にいけてるギャラリーです。我々は、行きは列車でLRT2のカティプナン駅(Katipunan)まで行き、そこからジプニーでマリキナ(Marikina)に出て、さらにジープを乗り継いでサン・ロケ(San Roque)に行き、サン・ロケからまたトライシクルでギャラリーまで出かけました。マリキナにはシューズ博物館もあり、そちらも見学したかったのですが、我々が行ったときにはあいにく閉まっておりました。
こちらは6〜7棟のスーパーオシャレな建物の中にモダンアートがぎっしり詰められたとっても素敵な空間です。これだけのためにマニラに出かけても良いのではないかと思います。個人的な施設とのことでコレクションの雰囲気もわかりやすく、より作家の感覚に近いものがあるのではないかと感じました。みたところ90年代からごく最近のものまでが集められており、現在進行形でコレクションが動いているようです。フィリピンに行くたびに通いたいと思える場所です。中にはカフェもあり、飲み食いもできますのでこちらで一日中過ごすことができます。入場料は180ペソ。
とにかくもう行くしかないといった感じで私としても自信を持っておすすめしたいのですが、唯一の問題は交通の便を考えるとちょっと行きづらいことでしょうか。ただ、帰りはサン・ロケからクバオ(Cubao)に直接行くいわゆるFXという乗り合いのバンを見つけて帰ることができました。もちろんこのFXはクバオ側からもあるはずです。私の記憶ではコロシアムの裏というかファーマーズマーケットの裏というかにある駐車場のあたりでバンを降りたと覚えてますので、そのあたりで訊けばサン・ロケ行きの直行便を見つけられると思います。間違ってたらすみません。サン・ロケまで行けばそこからはトライシクルの運ちゃんにアートギャラリーと伝えれば一発で行ってくれると思います。とにかくこちらは大おすすめです。絶対行ってください。
アテネオ・アート・ギャラリー(Ateneo Art Gallery)
アテネオ・デ・マニラ大学の中にあるギャラリー。コレクションを展示する部屋と企画展の部屋の二部構成です。コレクションの多くはモダンアートのものが多く、ちょっとだけ古いものも含まれるといった感じでしょうか。
我々が行った時には企画展での展示がどのような企画だったのかわかりませんが、ちょっとクラシックな現代といいますか、どこか20世紀っぽい印象のおもしろい作品が多く展示されておりました。作品がタブローからはみ出してゆく、その志向の打ち出し方が逆に新鮮という印象を受けました。
企画展ごとにページ数は少ないもののパンフレットも作成されているようで、それぞれ販売もされていました。大学内ということもあってか、販売されている書籍も充実していてなおかつ洒落ていました。
こちらはピント美術館の項でも出たLRT2のカティプナン駅(Katipunan)の近くにあります。大学までは歩いてもいけますが微妙に距離があり、しかも暑い中汗だくで歩いてたどり着いたGATE1はギャラリーまでかなり遠くて学校内でまた巡回バスに乗る必要があります。駅からジプニーかタクシーを拾ってGATE2まで行った方がいいと思います。ゲートで警備の方にギャラリーに行きたいと伝え、IDを提示して臨時の入場証を発行してもらって入場します。大学の敷地は広大なので適当に歩いていればいつかギャラリーにたどり着くなどということはありません。必ずゲートで行き方を確認してください。ギャラリーは図書館と一体になっており、建物の周りには彫刻作品も設置されています。
ビバリー曰くこちらの大学はフィリピンでも有数の学費の高さを誇る大学らしく、たしかに大学内におられる学生さんたちも育ちの良さそうな上品な気持ちのよい方々でした。入場無料。
WebSite — http://ateneoartgallery.org/
メトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Manila)
メトロポリタン美術館といえばニューヨークの美術館を思い浮かべるかたが多いとは思いますが、フィリピンなめんなよということで、こちらで案内させていただくのはマニラのメトロポリタン美術館です。
地下がスペイン占領前のゴールドの工芸品の展示になっています。もともと建物が銀行だったそうで、地下のドアの重厚さなんかも一見の価値ありです。美術ギャラリーは1階と2階になっています。1階はその時々の企画展と少し古めの近代の美術の展示、2階は現代美術の常設展となっています。私はこの2階の常設展が大好きなのです。豊富な作品がうまく分けられて展示されていてほんとに気持ち良く作品の鑑賞ができます。
さらにこちらが特徴的なのは映像作品の展示に積極的ということでしょうか。特にキダラット・タヒミックの『悪夢の香り』とニック・デオカンポの『オリバー』がいつでも見られるのはかなりおいしいと思います。そのほかにもいろいろなビデオがループでかけられていますが不勉強でどういったものかいまひとつ掴めてはいません。
この4月に行った時には1階で植物をテーマにした作家相乗りの企画展が開催されており、1階もかなり見ごたえのある内容でありました。
とにかくこのメトロポリタン美術館は私がマニラで一番好きな場所と言っても過言ではない場所でありまして、その存在を知ってからはフィリピンに来るたびにおじゃまさせていただいております。場所はマラテ地区にあり、行き方は例えばマラテ教会のあたりからですと、マビ二通りを南下してマニラ動物園とハリソンプラザの間ぐらいにある川沿いの細い道をロハス大通りのサービスロードに出たあたりです。近いというかわかりやすい場所なのですが、案外タクの運ちゃんが場所を知らないのでいつも説明に手間取ります。行く前にご自身できっちり場所を把握しておくのがベターかと思います。
人の少なさ、明かりの加減、空調の具合も最高。
WebSite — http://www.metmuseum.ph/
アヤラ美術館(Ayala Museum)
マカティのグリーンベルトにある美術館です。企画展やコンサート、ちょっとした教育・体験イベントなども実施しており、能動的な機能を持った文化施設といった感じです。モダンアート鑑賞の観点からは3階のゾーベルの部屋と私たちが行った時には同室で開催されていたレガスピの展示が見ものでした。
5階がヘリテイジ・ライブラリになっているのですが入室には別の許可がいるのか私たちは入れませんでした。4階はスペイン占領前のゴールドと陶器の展示です。仏教徒としては写真でしか見たことのなかった仏像らしき金の像が見れて感激しました。2階はフィリピンの歴史のジオラマ展示。1階は企画展コーナーでした。
入場料は425ペソ。ちょっと高めですがフィリピン居住者には大幅な割引があります。ビバリーはこの居住者の意味をマカティ居住者のこととして「マカティに住んでる人はひと味もふた味も違うのだ」と苦々しい表情で言ってましたが、それは間違いだと思います。
WebSite — http://www.ayalamuseum.org/
ざっと書かせていただきましたが、オススメ度としては一番ピント美術館、アテネオ・アート・ギャラリーとメトロポリタン美術館が同着の次点、やや下がってアヤラ美術館といったところでしょうか。
オススメ度とは別にどこか一カ所となると交通至便で展示のバランスの良いメトロポリタン美術館を推します。地理的に考えても別項で書かせていただいたあの『スポリアリウム』が展示されているナショナル・ミュージアムとハシゴすることは充分可能です。